漫画貧乏に思う

「海猿」「ブラックジャックによろしく」などの代表作がある漫画家の佐藤 秀峰さんのマンガ業界をザクっと斬った本です。
マンガ家の悲哀、苦労と佐藤さんの新しい取り組みが書かれています。
Kindleで無料で読めるというのが大きなポイントです。



描けば描くほどに貧乏になる

週刊連載で1Pで1万円の原稿料だとすると、月80万の収入になるが、アシスタントを雇ったりなんやかんやで、20万近く赤字になるそうです。
これを単行本の印税で穴埋めしようにも、定価の10%しかもらえず、よほど人気漫画家ではない限り、ウハウハの印税生活にはならないそうです。

描けば描くほどに貧乏になるの実態だそうです


そもそも、根本的に原稿料の設定自体に、漫画家がそこにかかる経費が計算されていないのが問題。
この原稿料は、雑誌への掲載料というわけです。

出版社は出版社の都合がありますから、原稿料の経費は上げたくないわけです。
とはいえ、漫画家は出版社からマンガを出さないいけないし、この業界には漫画家を守るようなしっかりとした慣習もないようで。

佐藤さんは憤るわけです。




漫画家もサラリーマンも同じだよね

読みながら、漫画家もサラリーマンも同じだよなって思うわけです。

どこかに所属すれば、理不尽であろうとそこのルールに従わなければならない

当たり前なんです。
それが理不尽な人は辞めるしかないんです。

それは会社をつくって、利益が出る仕組みを作ったもん勝ちであり、そこに所属して利益を得るなら仕方がない。
だからこそ、その仕組みをいかに自分の都合で利用するかが大事。
理不尽さを訴えても、制度なんて変わりはしませんよ。

嫌だったらやめればいいじゃん?

って言われておしまいです。
残念ながら。

佐藤さんには共感する一方で、同じような現実をぼくも感じるので、そんなもんだよって思います。
だからこそ、会社には満足度100%になり、お互いにウィンウィンの関係になるようにして欲しいのですが。




漫画 on Web の立ち上げ

おそらく、この「漫画貧乏」という本は、漫画 on Web のCMのために書かれたんじゃないかなって思います。
無料ですし。

原稿料が上がらない背景には、出版不況があり、出版社は自社が生き残るために必死なわけです。
そうして、下請けである漫画家が被害を被って、漫画貧乏がどんどん生まれてくる構図があります。

佐藤さんは、こうした現状を嘆き、いろいろと行動しますが、全部ダメ。
結果として、漫画家のために、漫画家が直接漫画を販売できるような仕組みを作ったのが、漫画 on Web です。


話題を得るために、「ブラックジャックによろしく」を全巻無料で公開したと書いてありました。
そういえば、とその時にニュースになったのを思い出しました。
これは、漫画 on WebのCMであったわけです。

後ろ盾もなく、漫画家の将来を思って始めた計画です。
なお、システム維持費以外のお金以外は受け取っていないそうです。

そこまでして、、、と思う反面、出版社からしたら異端児でしょうね。



終わりに

佐藤さんの漫画を一切読んだことはありませんが、この方は「信念の人」というのが率直な感想です。
ですから、きっと漫画もその信念が宿っていて、それが魅力であり、人気の秘密なんだろうなって。
そういう心に炎を持っている人間こそが、成功する人間なんでしょうね。

とともに、どの業界でも同じようなことが繰り返されているんだなと