心の安らぎを発見する時間管理の探求10のステップ

時間の効率化のために、色々なことを実践して一体何を目指しているんだろうか。
仕事の効率化のためにがむしゃらに仕事をこなしても、結局、仕事に追われている現状に対して、疑問が沸いてくる。

「TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント(ハイラム・W・スミス)」そんなことに答えを与えてくれる。
すべては「心の安らぎ」のため。



心の安らぎを得る

「心の安らぎは、誰もが求める最高の満足感や幸福感である」
著者は言う。また、

「時間管理とは、人生の中の出来事を効率的にコントロールするための技術や道具にすぎないのであり、いかにうまくなって、心の安らぎは得られない」


本書では「人間の行動に関する自然の法則」を提案している。
これは「人間が経験や実験を通して、正当性を証明した、自然や人生の基本的なパターン」のことである。

これを無視すると、人生に悲惨な結果を招くことになる。
逆に、人間の行動を支配する自然の法則を生活の中に取り入れると、私達個人の生産性は高まり、幸せな生活が送れるようになる。
なぜ重力の法則が働くのかはよく理解できなくても、自らの体験からどのように働くのかは正確に理解している。
こうした経験則がこの自然の法則にも適用できる。

本書は以下のように構成されている。

心の安らぎを得るための10の自然法則

第1部 あなたは「時間」をコントロールできる
 第1の法則 「時間」をコントロールすることにより「人生」をコントロールする
 第2の法則 価値観が自己実現の土台である
 第3の法則 日々の行動が価値観を反映しているとき、「心の安らぎ」を経験する
 第4の法則 有意義な目標は「安心領域(快楽と怠惰の習慣)」を出ることによって達成される
 第5の法則 毎日の計画は集中力を高め、時間の有効活用を可能にする

第2部 あなたは「行動」をコントロールできる
 第6の法則 行動とは自分の本当の想いを反映したものである
 第7の法則 想いが現実に即しているとき、自分のニーズが満たされる
 第8の法則 間違った想いを改めることにより、否定的な行動は乗り越えられる

第3部 あなたは「人生」をコントロールできる
 第9の法則 本当の自尊心とは自分の中から生まれてくるものである
 第10の法則 多くを与えれば多くを得られる


ここから各法則に則って、心の安らぎを得るための10のステップをまとめてみたいと思う。


TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント(ハイラム・W・スミス)

1.「時間」を奪還する

第1の法則 「時間」をコントロールすることにより「人生」をコントロールする
第1部の始まりであり、「時間」のコントロールがテーマである。

人生には、コントロールできる出来事(起床時間、食事、服装など)とコントロールできない出来事(日の出、天気など)がある。
これらの出来事をどのように対処するのかが大事である。

しかしながら、完全にコントロールできる唯一のものは、自分自身である。
自分自身以外のものは全くコントロールできないか、コントロールできても部分的であることを理解しておかないといけない。

そこで、「時間を管理する」という考え方をやめて「出来事をコントロールする」という考え方を取り入れることが、心の安らぎのための第一歩になる。

そのためには、まず理解しておかないといけないのが次のこと。

・コントロールできない出来事なのに、できると信じてしまう。
・コントロールできる出来事なのに、できないと信じてしまう。


勘違いしたままで突っ走ってしまうために、出来事によって自分が管理されていってしまう。


生産性を高めるキー

出来事の管理をするためには、結局のところ生産性を高めるしかほかない。
この生産性は、自尊心と深い相関関係がある。
つまり、出来事のコントロールと自尊心と生産性には互いに相関関係があるといえる。

自尊心を向上させるためには、次の2つの質問に答えると見えてくる。

(1)人生の中で最も大切に思っているものはなにか?
(2)その中で最も価値をおいているものはどれか?


結局のところ、「何が一番大事なのか」を自分の中に持っておかないと、判断がぶれてしまって、出来事を管理できないのだ。

仕事では突発的なことが起こる。
それが本当は後で処理してもいいことなのに、処理しないといけないと思ったとしたら、出来事に振り回されてしまうことになる。



時間がないは、選択である

例えば、誰かに食事に誘われた時。

「行きたいのはやまやまなのですが、時間がないんですよ」という時に嘘をついている。
「あなたと食事をするよりも大切にしている出来事があるんですよ。だから一緒に食事をしません」と言っているのと同じ。
ただ、この「する時間がない」という言い訳は世の中で通じてしまうし、自分をごまかしてしまう。
時間がないのではなくて、それをしないと選択しているだけ。

ただ、意識しておかないといけないのは、時間がないと何かを断る、つまり選択しているわけだが、「それが本当に自分にとって不要なのか」を考えないといけない。
家族にも「時間がない」と言ってしまったらどうだろうか。
取り返しの付かない事態になるかもしれない。

本人は「時間がない」と言い訳をしているわけだが、家族には選択結果を突きつけているのだ。
だから、常に、自分にとって一番は何かを意識しておかないといけない。



時間泥棒を撃退せよ

時間泥棒は巧妙にあなたの時間を奪っていく。例えば・・・

1.不必要な電話や不意の来客などの「中断」
 → あとにしてもらうなどの対応は可能。

2.「後回し」
 → 行うのは自分である。後回しにすることは出来事が私達をコントロールするようになり、生産性は低下し、自尊心も無くなる最悪の選択である

3.「優先順位の入れ替え」 → コントロールせよ
4.「ずさんな計画」 → 改善せよ
5.「返事待ち」 → 待たない

要は、重要な出来事を特定し、それらに緊急性をもたせ、もともと重要ではない緊急度の高い出来事よりも優先させること。
このことによって、自分の大事な出来事に割り込んでくる時間泥棒を撃退することが出来る。


以上のようなことを踏まえて、まず「出来事を管理する」ことで、時間の奪還は図ってほしい


TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント(ハイラム・W・スミス)

2.「価値観」を発見する

第2の法則 価値観が自己実現の土台である
人に何かを押し付けられるほど不快なことはない。
なぜなら、それは自分の価値観に合わないからだ。

そう、自分の価値観に合うかどうかが、大事なのだ。

そのためには、自分と向き合い、自分の価値観を憲法にすること。

ある男性の個人の憲法の紹介してみよう。
各項目ごとに、細かい項目が実際には存在しているが、ここでは省略をしている。

1.健康であること
 1.食べるものに気をつける、2.定期的にビタミン剤を飲む・・・
2.幸福な結婚生活を送ること
3.人生(時間)をコントロールすること
4.経済的に自由であること
5.信頼に足る人間であること
6.新しいアイディアを取り入れること
7.しっかりした考えのもとに行動すること
8.神から授かったものを大切にすること
9.効率的であり、抜けがないこと

このようにして、価値観を見つけ、順番をつけていく。
本書ではこのためのヒントがある。


TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント(ハイラム・W・スミス)

3.「心の安らぎ」を体験する

第3の法則 日々の行動が価値観を反映しているとき、「心の安らぎ」を経験する

生産性のピラミッドをつくり、自己実現の道を歩いて行く。

生産性のピラミッドの土台は、「価値観」である。
そして、その価値観をもとに「長期目標」を作成し、そのためのルールや行動の原則を決める「中間ステップ」。
そこから、日課のリストを作成し、行動する。
ここがピラミッドの頂点である。

大事なのは、価値観 → 長期目標 → 中間ステップ → 日課のリスト と上がっていくにつれて、

・焦点を絞っていく
・より具体的にしていく

ことである。

ポイントは、自分の価値観を基盤にすべてを決めていること。
自然の法則では、自分の価値観に従う事こそが、心の安らぎを生み出すのである



価値観に従って、日課のリストが作成されていくので、心の安らぎが日々体験できるはずである。

しかしながら、1番の価値が「家族を大事にする」であるのに対し、残業ばかりして家族とろくに顔を合わさない生活は成り立たない。
価値観からすると、このような結果になってしまうのは、あってはいけない。

残業をしてはいけない、というわけではない。
価値観をどのように日々に反映していくかである。

優先順位があやふやだと、行動が価値観や原則によって決まるのではなく、自分にとって短期において望ましい結果かどうかで決まってしまう。

これは価値観があいまいである証拠である。
自分と向き合うステップである


TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント(ハイラム・W・スミス)

4.「安心領域」から脱出する

第4の法則 有意義な目標は「安心領域(快楽と怠惰の習慣)」を出ることによって達成される

価値観が明確になったとしても、心の安らぎにつながらないこともある。
現実とのギャップである。

今の生活は「安心領域」である。(他の本ではコンフォートゾーンと呼ばれるのと同義。)
安心領域は上り坂と下り坂の間のようなもの。
努力しないと安心領域に落ち込む。努力すれば、安心領域から抜け出せる

しかしながら、そうとわかっていても、これまで慣れ親しんだ古い習慣を捨てるのはなかなか大変なことだ。

事実、目標を定めるのがいやだという人のほとんどがこの理由からである。つまり、新しい目標は、新しい行動へと私達を駆り立てるからだ。

そう、このステップは苦痛が伴う。
出来事の管理されていた生活から、心の安らぎを得る生活への移行するための苦痛である。


そのためには、効果的な目標設定が必要であり、次の5つの要素を考えるといい。

1.具体的である
2.行動を促す(何をするかがわかる)
3.計測できる(期日が明確)
4.現実的(物理的な条件などで制約されていない)
5.タイムリー(適切な、しかも長すぎない時間が設けられている)

そして、考えるべき目標の分野は以下の様なものが考えられる。

・健康
・家族/夫婦関係
・精神的向上/人道的貢献
・経済的自立
・会社/キャリア
・会社/戦略
・地域社会/政治
・教育/自己啓発


最後に「安心領域」の脱出を妨げる3つの障害を知っておかないといけない。
(1)周囲から受ける目に見えない圧力
→ ドリームキラーと呼ばれるような人たちで、変化や志を結果的にくじいてしまう周囲の人々である。

(2)自らが作ってしまう高い壁

(3)変化に対する恐れ

変化には苦痛が伴うが、断固たる決意こそが変化を生み、心の安らぎを生み出す




5.「計画的行動」を実行する

第5の法則 毎日の計画は集中力を高め、時間の有効活用を可能にする

目標を立てたら、実践に移していく。とにかく実践したいのが、

朝の10分で1日を計画すること


ある意味では、この計画する時間を作ることこそが、最大の投資効果を生むわけである。
出来事を管理するためには、「何をしなければいけないのか」を把握しておくのが必須である。

そして、日課に優先順位をつける
忘れてはいけないのが、立てた計画は約束であり、これを守ることでストレスは大幅に減るのである。




6.「行動と気持ち」を合致させる

第6の法則 行動とは自分の本当の想いを反映したものである

ここからは第2部で、「行動」に焦点を当てていく。

私たちの行動は次のリアリティー・モデルによって説明される。

心理的欲求 → 思いの窓 → ルール:もし~ならば → 行動パターン → 結果 元へ戻る


心理的な欲求が、潜在的な思いを生み出し、自分の中のルール(価値判断)をつくり出し、行動し、結果が出る。
この繰り返しが日々行われている。

ちなみに、基本的な心理的欲求とは本書では、

「生きる」欲求(生命)
「愛し愛される」欲求(愛情)
「人によく思われる」欲求(自尊心)
「変化を味わう」欲求(変化)

の4つと定義しており、なんらかの形でそれが行動に現れているわけである。
そして、これら4つの欲求が充足していないとうまく回って行かない。

ここで問われているのは、行動と気持ちが一致していないと短期的な利益は得られるかもしれないが、長期的には失ってしまうということ。




7.「現実とニーズ」を検証する

第7の法則 想いが現実に即しているとき、自分のニーズが満たされる

麻薬などの薬物は、短期的には快楽をもたらすが、長期的には身体を壊してしまう。
このように、長期的な成功を目指さないといけないわけでだが、短期的な利益に目が行ってしまう。


例えば、急いでいる時に、車を運転し、スピード違反しているとする。
そこに隠されている想いは「制限速度は自分には関係ない」である。
もっと根底には、「約束した場所に出かけるのに家を遅く出ても構わない」や「約束に遅れるのはビジネスにとってマイナスである」という想いがある。

この問題点は、長期的には「事故を起こす可能性が高くなる」ことや「交通違反で捕まる」ことなど、様々な危険が伴う。
現時点で事故を起こしていないからいいわけではない。

この想いを、「約束に遅れても世界が終わるわけではない」や「家を早くでるのは絶対必要なことである」という想いに変えてみるとどうだろうか。
スピードの出し過ぎを正当化しようとする欲求を消し去ってしまえる。


「思いの窓」の成否を、「リアリティー・モデル」によって判定する。
次に、行動パターンを特定し、「想い」を明確にする。
そして、「将来の行動」を予測する。
その結果として、「新しい想い」を打ち出し、そこから「将来の望ましい行動」を予測する。

このようにして、自分の行動について検証を行う。




8.「誤り」を修正する

第8の法則 間違った想いを改めることにより、否定的な行動は乗り越えられる

7で見たように、「思いの窓」に「誤った想い」を入れると、短期的には効果のある行動が生まれるものの、長い目で見ればその行動は破滅的なものになる。
それを理解した上で、自分行動を修正していきたい。

著者が印象に残った言葉として載せたものを、引用しておく。

「いかなる成功も、家庭での失敗を償うことはできない」
「死ぬ間際になって、もっとオフィスにいる時間を長くしておけばよかったと思う人はいない」
「たとえ仕事の効率化につながらないものであっても、知識には価値がある」




9.「自尊心」を確認する

第9の法則 本当の自尊心とは自分の中から生まれてくるものである

ここからはいよいよ第3部。「人生」のコントロールがテーマである。

理想と現実の間には必ずギャップが出ることだろう。
しかし、それでいいと私は思っている。大切なことは、「今ある姿と理想の姿との間のギャップを埋める努力」し続けることである。

自尊心を保ち、心の安らぎを得るためには、決して成功をもたらさない順応をしない、ことがあげられる。

それは、自分自身の本心や価値観に反しているにもかかわらず、人がしているからというだけでそれに従うというものだ。
人の目を気にするタイプはまさに陥りやすいもの。

だから、

他人ではなく、自分自身の個性に順応し、自分自身の価値観の響きに合わせてステップを踏まなければならない。
自分自身の幸福と成功は自分らしさを決して失わないところにかかっている。自分の可能性を求めて生きることが大切になる


また、著者はこう言う。
自分の価値というものが、人の意見や自分の所有物、そのほか何らかの外的なものに基づいているとしたら、長い目で見れば必ず問題が起こる、と。


自分の人生は自分のもの、だからこそ責任を取るのも自分である。
自分の行動が他人のよって決められていれば、当然問題であり、すぐに改善しないといけない。




10.「奉仕の精神」を抱く

第10の法則 多くを与えれば多くを得られる

豊かさマインドを実践し、分け与える。
そうすれば、多くのものをわけてもらえるようになる。
こうした奉仕の精神を忘れてはいけない。




究極の心の安らぎ

心の安らぎを得るためには、2つの要素を満足させなければならない。

1つは、基本的な価値観を特定すること。
もう1つは、その価値観に基づいて私達の生活の中の出来事をコントローすること。

この2つがそろうことで、心の安らぎを体験することが出来る。


そして、究極の心の安らぎに到達するにはもう1つの要素が加わらなければならない。
それは、道義的な真理である。
わたしたちの価値観が道義的な真理に貫かれ、私たちの行動もそれに一致するとき、私たちは究極の心の安らぎを体験することが出来る




終わりに

とても長い旅でしたが、心の安らぎを手に入れるためにはここまでと同じように長い旅が必要になります。

忙しい日々の中で、本当に大事なものが見えず、失った時にわかるという皮肉なことが何度もおきます。
そうした悲劇を生み起こす中心こそが、「仕事」に違いないはずです。

だからこそ、ライフハック、効率化、朝時間の活用といったことがもてはやされます。
本書は、そうしたことよりも、もっと根底にある価値観のレベルから見直して見ようと提案してくれます。

この価値観こそが、時間に追われて見失い、見えないものにほかなりません。
仕事の効率優先の前に、価値観を見直すことが必要なのかもしれません。

そういう意味では、最近のベストセラーよりも、さらに深く掘り下げており、1999年に発行されていることも驚きです。

気になる方は手にとって見てください